close

- あなたのこと、こんなにすきになりました。 -

今振り返ってみれば、おそらく初めて音楽室にピアノを弾いてる姿を見た瞬間、
一目惚れしたでしょう。

最初の時、ピアノ弾いてるとき、傍にいて気が散るからと怒られたのに、なぜか聴きたくてならないから、
毎日こっそりと音楽室の外で聞いてた。
あの水晶のように心底まで沁みていく透き通る音。

ある日、いつもより早めに音楽が止まったなと思うところ、音楽室の扉がガラガラと開いた。

「聴きたいなら、堂々と入れ。外で聞いてると気障りだ。」と聖司が煩わしく言った。
「じゃ、遠慮なくお邪魔します。」と言って、音楽室に入った私を、聖司は不思議そうに見つめた。
「図太い。」と言いながら、聖司はピアノを続けた。
その後、毎日私は音楽室を通うことになりました。

「なんであの時怒られたって毎日来てるんだ?」
と、先日私の誕生日でわざわざパリから帰国した聖司がいきなり聞いた。
「さぁ、どうしてかな」とちょっと意地悪に答えた。
「おまえな・・・」とまた文句がくると思ったけど、
「まぁ、別にいい。図太くきてたおかげで、今の俺がある」と、毒舌半分でにっこりと言い返してきた。

聖司らしいな、とつい笑っちゃった。

- これからも、果てしなく見守って行きたい。 -

arrow
arrow
    全站熱搜

    ltc81 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()